山形駅西口から10分ほど歩いたところにある「和菓子 甘果(かんか)」さん。
店内のカウンターに並ぶのは、看板商品の「甘果もなか」や
季節毎に変わる上生菓子、干菓子など数種類。
お一人で、製造から販売まで担っており、販売できる数に限りがあることから、
売切れ次第、クローズする小さな和菓子店です。
2021年4月にオープンした同店は、オープンに先駆けて、山形経済新聞をはじめSNSでも掲載されたことで、大きな反響があり、歩道まで行列ができたといいます。

Y-bizでは、店主の田中美海さんが創業に向けて動き始められて間もなくから、約1年半、
継続的にサポートさせていただきました。
オープンから8カ月が経とうという昨年12月初旬、お店にお邪魔してまいりました。

創業についての記事はこちらから↓


店頭
プレオープン最終日の店頭にて。


私が訪問したのは、水曜日の15時頃。
比較的お店が落ち着いている時間だそうですが、来店されたお客様の反応もうかがうことができました。

七日町のカフェ「花とお茶 鴇色」さんにお菓子を提供しておられる「甘果」さん。
この日は、「花とお茶 鴇色」さんで食べたお菓子がとても美味しかったから、と初めて足を運んだお客様や、近所に住んでいて、よく買いに来られるお客様、お茶席でいただいたお菓子の味が忘れられず、買いに来られたお客様など様々でしたが、いずれの方も、「甘果」さんの和菓子に魅了されて、買いに来られたことが分かります。


また、その全てのお客様に細やかに対応されている田中さん。
お客様は、田中さんの作る和菓子のファンでもあり、田中さんご自身のファンでもあるのだなと感じさせられましたし、同時に、地元の方に愛されるお店として、着実に歩まれていることが実感できました。



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店主の田中美海さん。山形市出身。
東北芸術工科大学を卒業後、上京。日中は、銀座の和菓子店でアルバイト、夜は製菓学校で菓子作りを学ぶという生活を送りました。その後は奈良や京都でも修行を積まれています。


「甘果」さんの和菓子は見た目が実にシンプル。
田中さんによれば、「私の作っている和菓子は主役ではないと思っていて、
和菓子を食べるその時の会話や空間が主役で、和菓子はサブの役割。お茶席でも、そう。あとは、形や見た目がシンプルな分、味の印象が残るのではと思っています」とのこと。
ご本人は、「写真映えしない和菓子」と話しますが、季節を映した上生菓子には、
手仕事の繊細さが光ります。

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季節の上生菓子「冬ごもり」。(写真提供:和菓子 甘果さん)

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季節の上生菓子「灯火」。(写真提供:和菓子 甘果さん)

もなか
甘果もなか(簡易箱6個入り) 800円。
あんこは小豆を煮た後、一晩蜜を含ませじっくり炊き上げられています。口に含んだ時に感じる優しい甘さが特徴です。


創業前、田中さんは、各地の有名な菓子店を歩いて回ったそうで、自身が気になるお店やお菓子に惹かれ、その土地を訪れたように、「和菓子 甘果」が、山形を訪れるきっかけになったら嬉しい、と笑顔で語ります。
続けて「元気な街づくりの一つの要素となりたい」とも。

東京や、奈良、京都で修行をされ、山形を離れている期間があったからこそ、
「山形に戻って、お店を立ち上げたい」という、生まれ育った山形への強い気持ちに突き動かされたのだと思います。


Y-biz内でも「売切れになっていて、なかなか購入できない」と残念がる声が聞かれます。
人気の上生菓子はあっという間に完売してしまうこともありますので、お休みの情報など最新情報をInstagramからチェックしつつ、ぜひお店に足を運んでみてください。
寒さが厳しくなってきたこの頃。
温かな飲み物に「甘果」さんの和菓子を添えて、ほっと一息つく時間をどうぞ。


■和菓子 甘果

山形市双葉町2-4-38 双葉町中央ビル 1-A号